クラブ継続事業
 ノンライオンYCE派遣

1.経緯
 当事業は、青少年健全育成の立場から、苦学の中にありながら向学心に燃え、且つ心身ともに健全な若者たちに海外派遣の機会を与えることこそ、YE事業の原点と位置づけ、クラブ15周年(1979年)の記念事業の一つとして地域の母子家庭より女子高校生1名を選抜してアメリカヘの夏期派遣を行った。
 その結果、この学生は帰国後レオクラブメンバーとして活発な活動を続け、一段と性格も明るくなり、一回り大きな若者に成長し、我がクラブの所期の目的が達せられたことを確認した。
 しかしこの派遣に際しては、彼女の語学力の不足から、会話レッスン費まで負担しなければならず、予算的に少なからず負担を来した。
 この経験から、クラブ20周年時には、ノンライオンであり、学力優秀、心身共に健全且つ語学力優秀なユースの派遣をと検討中、関東地区で東京浅草ライオンズクラブが「財団法人交通遺児育英会」の奨学生の中から優秀な交通遺児を選抜し、継続事業として毎年YE派遣を行い、大きな成果を上げている事を知った。
 これに付き早速、当育英会に掛け合ったところ、ライオンズクラブが派遣学生に対し実施しているオリエンテーションの関係で、地理的、時間的にどうしても首都圏の奨学生だけに限定され、関西地区にも優秀な遺児達がいながら、彼らにはこのような機会が与えられていない事を知ると同時に、この時点で関西地区に優秀な当育英会奨学生が70名程いる事を確認した。
 その頃の奉仕の対象はまだ所謂狭い地域密着型の奉仕に終始しており、ゾーン各クラブの目先は身近な地域へ縦横に重なる傾向があり、そろそろ、そこからの脱却が叫びはじめられた頃である。そこで、我がクラブは奉仕に対する「地域」の解釈をより広域へと拡大し、特に当事業に対してのテリトリーを関西全域、即ち335複合地区ぐらいまで拡げ、関西の浅草クラブを目指すことを打ち出した。
 そして、クラブ20周年(1984)記念事業の一つとして、関西地区の奨学生より2名を面接、語学カテストで選抜してオーストラリアヘの夏期派遣を行った。
 その後、この事業を「クラブ継続事業」と位置づけ、毎年当育英会より、また、後にこの育英会から独立した「あしなが育英会」より推薦された優秀な奨学生(交通遺児・病気遺児・災害遺児など)1名を派遣、5年ごとの周年時には2名づつの派遣を行い、2006〜2007年度の派遣では丁度30名を数えることになった。

2.当事業に対する事業費捻出法
 この継続事業にかかわる事業費は、当該年度の事業費会計を圧迫しないよう、毎例会にメンバー1人当たり500円の特別拠出を行い特別事業会計となっている。

3.当事業の見直し
 どんなに意義ある奉仕事業であっても継続事業となると、ややもするとマンネリ化し、時代的背景などを見失う恐れがある。
 この観点から、我がクラブは継続事業を5年毎に見直すことにしている。その方法は、クラブ会長の諮問機関とする長期リサーチ委員会と過去5年間のクラブYE委員長により過去5年間の反省と今後の取り組み方の検討がなされ、以降5年間の方針を打ち出し、会長に答申し、会長はこれをクラブ理事会に諮り、例会承認を得て決定されている。

4.当事業の効果
 現在までの状況は、彼らユースの人格、学力は共に優秀であり、帰国後は国際感覚を身につけ、人となりもより大きくなり、後輩の世話、当育英会がすすめる社会に対する「恩返し運動」などで活躍を続けている。
 また、就職後も彼らから届く年賀状や周年時の祝電等から、多方面でリーダー的存在となって活躍していることを確認している。

5.今後の展望
 聞くところによれば、最近335−A地区のあるクラブが「あしなが育英会」に対して同様のYCE事業を行っているとのことだが、当事業にふさわしい対象者がいるのであれば1クラブの事業に留まらず、より多くのクラブから派遣されることを、機会あるごとに地区関係へPRを続けて行こうと考えているところである。

以下は派遣生の出身校、派遣先などの一覧表です。

 

ノンライオンYCE派遣生一覧 (2020/4現在)
堺浜寺ライオンズクラブ
年 度 派遣生 出 身 校 派 遣 先 出身地
1 1980 E・N 高石高校 アメリカ カリフォルニア 大阪府
以下「財団法人交通遺児育英会」及び「あしなが育英会」推薦 (38.44は除く)
2 1984 Y・I 京都大学 薬学部 オーストラリア 西部
3 N・K 関西大学 法学部   〃     〃
4 1985 K・O 京都大学 工学部 アメリカ ミシガン
5 1986 S・O 関西大学 工学部   〃   〃
6 1987 Y・K 関西外国語 短大 アメリカ ケンタッキー 和歌山県
7 1988 K・N 和歌山県立医科大学 アメリカ アイオア州
8 1989 T・S 大阪大学 人間科学部 アメリカ イリノイ州 大分県
9 K・I 関西大学 商学部 アメリカ ミシガン 兵庫県
10 1990 M・M 関西大学 商学邸   〃   〃
11 1991 H・H 大阪大学 基礎工学部 アメリカ インディアナ 大阪府
12 1992 T・M 京都大学 理学部 ニュージーランド 滋賀県
13 1993 Y・H 武庫川女子大学 人間科学部    〃 兵庫県
14 1994 Y・M 大阪国際女子大学 文学部 オーストラリア 奈良県
15 K・K 親和女子大学 文学部    〃 兵庫県
16 1995 M・S 京都大学 教育学部    〃 徳島県
17 1996 M・K 京都女子大学 教育学科 ニューシーラント 滋賀県
18 1997 M・M 立命館大学 法学部 ペルー 奈良県
19 1998 A・N 神戸女学院大学 文学部 オーストラリア 兵庫県
20 1999 M・Y 同志社女子大学 学芸学部 アメリ力 三重県
21 H・H 大阪市立大学看護短期大学 アメリ力
22 2000 N・T 奈良女子大学 文学部 ヨーロッパ 岡山県
23 2001 A・M 武庫川女子大学 文学部 ニュージーランド 徳島県
24 2002 S・Y 同志社大学 文学部 アメリ力 埼玉県
25 2003冬期 K・U 神戸女子大学 家政学部 ペルー 兵庫県
26 2004 J・H 関西学院大学 商学部 マレーシア
27 Y・K 仏教大学 文学部   〃 滋賀県
28 2005 K・T 大阪教育大学 教育学部   〃 大阪府
29 2006 H・A 武庫川女子大学 生活環境学部 フランス 山□県
30 2007 A・T 兵庫県立大学 経済学部 アメリカ カリフォルニア 兵庫県
31 2008 J・S 近畿大学 薬学部 デンマーク 愛知県
32 2009 M・N 兵庫医療大学 看護学部  スウェーデン 大阪府
33 2010 Y・F 大阪薬科大学 薬学部 フィンランド 広島県
34 2011 J・S 武庫川女子大学 薬学部 デンマーク 大阪府
35 2012 M・M 神戸親和女子大学 発達教育学部 ドイツ 兵庫県
36 2013 T・I 大阪大学 文学部 ドイツ 福井県
37 2014 Y・N 摂南大学 外国語学部 チェコ&スロバキア 兵庫県
38 T・D 帝塚山学院泉ヶ丘高校 オーストラリア 大阪府
39 2015 S・F 神戸市外国語大学 外国語学部 ドイツ 広島県
40 2016 M・N 同志社女子大学 現代社会学部 ニュージーランド 兵庫県
41 2017 A・N 上宮高校 普通科 マレーシア 大阪府
42 2018 M・T 関西外国語大学 外国語学部 ベルギー 兵庫県
43 2019 K・D 大阪大学 外国語学部 オーストラリア 大阪府
44 F・T 大阪府立泉北高校 国際文化科 シンガポール 大阪府
2020 世界的な新型コロナウイルス蔓延により夏季YCE事業中止


2008〜2009   2010〜2011  2011〜2012     
          2013〜2014  2014〜2015   2015〜2016



クラブ継続事業
 「愛育社」児童へのお誕生カード・お祝い金


「愛育社」は、児童福祉法による一養護施設であり、その歴史は非常に古く、明治8年にさかのぼる。
収容児童は満2歳〜18歳の幼児から高校生まで、男女とも30名づつ計60名(定員)で、それぞれ寮舎で共同生活し、就学児童は地元の小、中、高校および養護学校などに通学し、様々な日課行事を通して、家庭的な雰囲気のなかで人格育成保護を受けている。
 児童にお誕生日祝いカード及びお祝い金を贈るようになった経緯は、クラブ10周年の頃、“地域に密着したより実のある奉仕”を模索するなかで、物質面より、むしろ精神面にまさったアクティビティを、また例え規模が小さくとも永続的に実施活動ができるものをと熟慮を重ねた結果、施設の児童1人1人に対して、年一回の誕生祝いにクラブメンバー1人1人が関わると云う、いわゆるマンツーマン形態の奉仕事業を立案し、さっそく愛育社に打診、快諾を受けるなか、昭和50年5月から実施された。
 「お誕生カード」もさることながら「誕生祝」を物品ではなく、児童たちが自主的にしかも十分な監督指導のもとに好きなものを購入出来るようにとの配慮から、すべて各人宛てに現金を贈ることとし、毎月クラブ担当委員会より施設を訪れ、その月の誕生児童分のバースデーカードと共に職員に委託している。日曜日には職員に連れられスーパーなどで買い物ができることを無上の喜びとしているようだ。
 この奉仕を継続事業としているの理由は、
1.この定期的な「バースデープレゼント」を手にした児童たちから直ちに素直な感謝の気持ちのこもった礼状(まだ字の書けない幼児からはクレヨン画など)が次々と寄せられるなど、いつも予想以上に大きな喜びの反響を受けている。
2.この現金による「誕生祝」は何にも増して児童たちの渇望久しい年1回の大きな喜びとなっている事実を見聞するにつけ、継続して実施することにウイサーブに意義がより認められる奉仕であると確信しクラブ継続事業として現在に至っている。
3.単発的奉仕を含め、出来る限り多くの機会を得て、これら児童と心からの触れ合いを求め、彼らの傷ついた心の根底にある大人達への不信感を少しでも取り除いてやることこそ、当アクティビティの大きく意とするところである。